名前の無い物語


俺を…視てた?


拓の言葉に
空は驚きを隠せなかった


『たぶん、能力を通じてだと思う。お前が能力に目覚めてから…ずっと俺はお前を視てた。

帝国軍との戦いも、語り部に真実を告げられた事も、お前が…世界を救おうと決めたのも、全部視てた。』

能力が目覚めて
空の日常が崩れ出した、その瞬間から
拓は空の目を通して世界を見ていた


『全部知ってる。お前が嫌々使命を受け入れた事も、帝国軍でさえ傷つける度に胸が痛んでた事も…どれだけ、柚歌や友達を大切に思っているのかも。』


今まで誰にも話さなかった
空の感情

『お前は俺なんかとは違う。俺は自分の手で大事なものを傷つけた。会わせる顔も無いし、会う権利もきっとない。
でもお前は違うだろ?
お前は、こんな所にいちゃいけねぇんだよ!

お前には…お前が大切に思ってる、お前を待っててくれてる奴等がいるだろ?』


拓…


『待っててくれる人がいんのに…お前はこんなとこで一生ボーッとして生きるつもりなのかよ?』