名前の無い物語


拓の言った事は、空はどこか他人事のように感じた
だが、実際自分も今そんな状況にあるわけで
自分の未来を、突きつけられたと理解した


成る程な…じゃあ俺も、ずっとこの空間で暮らす事になるのか


『お前が望むならそうなるな。けど、お前のそのお人好しの性格を見込んで、ある提案がある。』


…提案?


空の反応に
『あぁ。』と拓はどこか笑った気がした


『お前の身体を復活させてみないか?』


最初、拓が何を言っているのか空には理解出来なかった
暫く広がる、沈黙の時間


は…?お前何言ってんだよ?


『お前の身体は完全に消滅した。強力過ぎる能力を使う代償としてな。

気づいてると思うけど、俺も然り…今のお前は意識だけの存在だ。』


それは空も理解している
今の自分が置かれている現状も、こうなった原因も…


『これは”死”じゃない。只存在するために必要な身体が“消滅”しただけだ。

なら、その身体を復活させてやれば…全ては元通り。』