名前の無い物語




意識の中に聞こえてくる
1つの声


…誰?何でここに?


『俺?お前と同じだ。存在が消滅した者。

いやでも、俺とお前は違うよな。お前と違って、俺は過ちを犯したんだから。』


その言葉に
空の思考に浮かぶ人物は一人


お前もしかして…桐谷拓?

『あぁ。ほんとに記憶力良いんだな。』

空は驚きを隠せなかった

200年前
滅びようとする世界の理を無視して、自身が持っている“創造”と“破壊“の能力を使って
無理矢理新しい世界を創るという過ちを犯した人物

空の平凡な日々が崩れ去ったのも、その能力を受け継いだ為であり
拓の犯した罪を償うため、世界を滅ぼす使命を語り部から与えられた

けれど、空は滅びの道ではなく
自身の存在を犠牲にしてでも、拓とは違う世界を救う道を選んだ

その結果、今に至る



『存在を消滅した者は、死ぬことさえ許されない。ずっと、この何もない空間の中、意識だけ生きていく。

今まで、俺はずっと生きてきた。』