名前の無い物語


分かる
目の前の『彼』は嘘は吐いていない

さっきから、懐かしい感覚が私を襲ってきてる

まるで

あの日々に、戻れたような…


「…何で?」

ポソリ、と柚歌から最初に出た声は
すごく小さかった

空は首を傾げた


「何で…何で空はここにいるの?世界の中に消えたんじゃ無かったの!?

生きてたなら…二年間、どこにいたのよ!!」

本物の空だと悟った瞬間
柚歌の内に溢れてくる疑問


「何で連絡してくれなかったの!?

私が今まで、どんな思いで…。」

最後には
柚歌の瞳からは涙が流れていた

空はずっと死んだと思っていたのに
何故生きていたのか

今までどこにいたのか

この二年間…彼は何をしていたのか


柚歌は何も分からなかった



そんな柚歌の姿を見て
空は悲しそうに顔をしかめた


「…柚歌の記憶の通りだ。」