名前の無い物語











「…ここでいいか?」


階段の踊り場で
空は背を向けている柚歌にそう聞いた

「話がある。」そう柚歌に言われて
二人は医務室から出て、ここに辿り着いた

おそらくこんな所にわざわざ来る物好きはいないだろう

この場の空間は…空と柚歌の二人だけだった


「…柚歌が聞きたい事、分かってるから。」

その言葉を合図に、柚歌は振り返る

上から下まで
柚歌は空の姿を見た


「…本物、なんだね。」


最初は信じられなかった
あの時、自分は死んだのかとも思った

だけど…今こうして怪我が治ってからも
空は…目の前にいる


「…本物だよ。
お前が知ってる、間宮空だ。」