名前の無い物語


懐かしい温もりを
海はギュッと抱き締める力を強めた

今考えてみると
華達からしたら、何の前触れも無くいきなり姿を消した事になるんだよな

そう考えたら、どれだけコイツを不安にさせたか…

「心配かけてごめんな。」

海の言葉に華は少し体を離した
まだ涙を浮かべながら
華はニコリと笑う

「…きっと、何か理由があるんでしょ?柚歌さん達に関わる…大事な用事が。」

海は何も言えなかった

図星なのに、世界の事は企業秘密
ここまでバレているのに、今更する言い訳は何も浮かんでこなかった


そんな海を見て
華は「大丈夫。」と言った


「私は海を信じてるから。」