名前の無い物語


アンカーは川崎がやる筈だ
なのに…襷をかけているのは知らない奴

クラスにあんな奴がいたかと、クラスメートは首を傾げた


「あれ…滝川君!?」

ただ一人、菊地加奈子だけが
信じられないように目の前の光景を見ていた


そんなクラスメートの姿を見て
ざわついた中を
駿介は松葉杖でゆっくり歩き、団旗を団長から奪った

ダン、と旗を地面に強く付く


「よし…全員で、アイツ等を応援しようぜ!」

駿介の叫びに、さっきまでのざわめきは一瞬で消えて
歓声で全てうまった



「…長瀬。」

列に並びながら、吉野はクラスの方を見る
どのクラスよりも、一層歓声が大きい自分のクラス

その中心には…やはり長瀬駿介の姿があった


「…アイツ。」

『位置について。』先頭選手が構える
その中で、吉野は嬉しそうに笑った


パァン、とピストルの音が鳴り響いた