名前の無い物語


差し出された、駿介の上着


「俺の体操着。俺は出れねぇからさ。」


苦笑いを浮かべた駿介
吉野と視線が交わる
 

何も言わないまま
吉野は体操着を手に取った


ーーおはよー皆!ーー

ーーおはよー彩夏、駿介!ーー

 
賑わう教室に入る彩夏と駿介
席に向かいながら、二人はたくさんのクラスメートに挨拶を交わす

荷物を置いて
彩夏はある席に向かった

ほとんどの生徒が、グループになって喋っている中
その席にいる彼は…一人で外を見ていた

ーーおはよ、滝川君ーー

彼女の姿は
その少年の瞳には…映っていなかった




ついこの間の、俺達の関係

本当は、とっくに手を差しのべられていたのに
俺は気づかない振りをしてた

だけど…もう終わりにするんだ


「…行ってくる。」

パン、とタッチを交わした吉野の胸には


1-5と書かれた青のゼッケンがあった