名前の無い物語


「…本当にごめん。」と謝る駿介に対して
クラスメートは何も言わなかった

その光景を隣で見ながら
彩夏はため息を吐く


…昨日の出来事は内緒にしてほしいと柚歌さんに言われて
咄嗟についた嘘

本当は、駿介は何も悪くない筈なのに


「けど、今回優勝して殿田を見返すんだろ!?俺の脚力じゃ…。」

「大丈夫だって。自分を信じろよ。」

明るく言う駿介
クラスメートは、まだ動揺の色を隠せなかった


「…ホラ、もう時間だろ?グラウンド行こうぜ。」

「目指すは優勝だ。」駿介はそう言って
一番最初に教室から出ていく

クラスメートは不安そうな顔をしながら
少しずつ教室から出ていった