名前の無い物語


ガララ、と古びた音を立てて開く扉

彫刻や、絵や絵の具が散乱する少し広めの教室

その窓から、見つめる…一人の男性


「…あんたか。」


吉野の声に、彼は振り返る
高めの身長に細身の体

振り返って吉野に見せた表情は…狂ったような笑顔だった


「…久しぶりだね、滝川君。」


自分の事を知っている事に対して驚きながら
吉野はすぐに冷静さを取り戻す


「まさか、あんたが産みの親だとはな…殿田先生。」


美術部顧問
そして…吉野達のクラス担任、殿田はニッと笑った


「産みの親…?何の事かな?」

「とぼけんな。俺には分かるんだよ。」