名前の無い物語


予想外の言葉に
二人はただ目を丸くした


「デュアンテの親玉はここじゃない、別の所にいる。ソイツを倒さない限り、デュアンテが減ることはない。

だから俺が、親玉を倒しに行く。」


その間に、二人を守っていて欲しい


吉野は柚歌と海にそう告げた



バラバラに行動する
意図的にそれをすることは、三人にとって初めてで

いくら同じ境遇の仲間であろうと、まだ知り合って日が浅い
他人に任せるということは、少なからずお互いを信じることが大切になってくる

それは、海や柚歌にすらまだ思ってもみなかった案で
今までの吉野には有り得ない提案だった


仲間がやり遂げると信じて、やられないと信じて
仲間の強さを信じる事


それは…心を失った吉野の中には存在しない感覚であった筈なのに


「…わかった。」


静かに、声を発したのは
海だった


恐らく吉野には、親玉の居場所が判っている
海はそう確信した


「お前しか、親玉の居場所は分からない。それに、アイツ等の手当ても重要だ。

…なら、それ以上の手は無い。」