名前の無い物語


慌てて鞄から取り出されたのは、一枚の紙
吉野はそれを受け取った



「…体育祭?」


それは、体育祭の種目別にかかれたクラスのリストだった


「その…明後日、体育祭なんだ。滝川君も出るでしょ?」


菊池加奈子の言葉に
吉野は一度迷ったように俯いた



「…ごめん。俺は出ない。」


どうせ俺の居場所なんてあのクラスには無い
それに、しばらくの間留守にしてたし


俺が出られる種目なんて無い



「そんな事言わないで滝川君。その、滝川君が居ないとリレーが回らないんだよ…。」


「は?」吉野はリレーの欄を見る


リレーの欄には
何故か四番目に『滝川吉野』の名前があった



「何で名前が…?俺、でるなんて言った覚えな無いけど…。」


「体育祭、全員参加だから何かの種目には必ず出なきゃいけなくて。

リスト見たら、滝川君がクラスで一番速くてね?だけど出てくれるか分からないからせめて四番目に入れようって…。」