名前の無い物語


「聞きたいこと?」彼女達は首を傾げた



「吉野の事を教えて欲しいんだ。」


海の言葉に、彼女達は困ったように顔を見合わせた



「…申し訳ないですが、私達は何も知りません。」



「知らない?」海と柚歌は目を丸くした


知らないって…
クラスメートだろ?


少し位知ってたって…



「滝川君とは一度も喋った事無いし、ただのクラスメートなんです。

だからたぶん…あなた達の方が滝川君の事をよく知ってるんじゃないですか?」



「ちょっと待てよ…何も知らないなんておかしいだろ?」


今まで一度も喋った事がない?


一度くらいある筈…ーー!



その時海の頭に浮かんだ、答え



「いい加減にしろよ。」後藤彩夏を庇うように
長瀬駿介が前に出てきた



「まるで俺達が悪者みたいに言いやがって…。俺達だって好きでアイツと喋らなかった訳じゃねぇよ。

特に彩夏は委員長だから努力したさ。アイツの仲良くなろうってな…けど、アイツ自身が他人に興味無かったんだよ。」