名前の無い物語












「ここ…?」



柚歌と海が辿り着いた先
チャイムが今まさに鳴り響いている高校だった



もう授業は終わったのか、少しずつ帰宅し始めている生徒が目に入る



「あの制服…間違いないな。」


「えぇ…。今終わったって事は、ここで待っていれば彼等に会える筈。」




彼等



吉野のクラスメートである、さっき会った後藤彩夏達



「なぁ、柚歌…。」


「何?」柚歌は首を傾げた



「俺、考えたんだけどさ…アイツ等なら、吉野の心が壊れた原因…分かるんじゃねぇかな?」



クラスメートだからって、何でも知っている訳じゃない


だけど、自分達よりも彼等の方が吉野との付き合いは長い筈

それは事実だ



「私も同じ事を考えてた。前の…心が壊れる前の吉野の事を知っているんじゃないかって。」