名前の無い物語




心が壊れてる?
本当の、俺…?



「じゃあ…このまま旅を続けたら、勝手に俺は前の『俺』に戻るのか?」



語り部の言うことはイマイチ分からないけれど
とりあえず、害は無い事は確かだ


「上手くいけば、ね。」


「え?」語り部の言葉に
吉野は首を傾げた



「本当の君を思い出すということは、心が壊れるキッカケになったナニカを思い出すということ。

その時…君は本当の自分を受け入れられるか。」


俺が『俺』を失うキッカケになったナニカ
それが…頭に流れる映像と関係しているのだろうか?



「語り部は、全部知ってるのか?」


吉野の言葉に、語り部は吉野の方に振り返った



「知ってるよ。吉野君の知らないこと…全部ね。」


「けど。」語り部はそのまま言葉を続けた



「これは、吉野君が自分で取り戻さなきゃならないよ?」



語り部の言葉に
吉野は顔をあげた


「…そうだよな。」


本当の『俺』なんて、まだ全然分からない
だけど、この旅で…取り戻せるのなら


俺は旅を続けよう



「吉野。」