名前の無い物語



「柚歌と海と旅をしてる内に、頭に身に覚えの無い映像が流れるし、俺以外の誰かが…俺の中にいるみたいに。」


今までの俺はこんなのじゃなかった


仲間とか、周りなんてどうでもよくて



けど、柚歌と海に会ってから
いや…この旅で色んな奴等に触れてから


違う『俺』が生まれた気がする



「…それは必然的な事だよ、吉野君。」



語り部の言葉に
吉野は首を傾げた



「君は取り戻そうとしてるの…一度失った、本当の君を。」


すぐには理解出来なかった
語り部の言葉は…予想もしてなかった事だから…


「…本当の…俺?」



語り部は頷いた
振り返って、歯車を見つめる



「ある事をきっかけで失った本当の吉野君。心が壊れたまま…どうにか君は今まで生きてきた。無気力で無関心っていう…新しい君によってね。

だけど、この旅で…君は本当の自分を思い出してるの。」