名前の無い物語


繋いだ手
その手が、離れていく瞬間

不意に感じた、虚無感


音楽が、旋律が
空を…光の中へ奪っていってーー



「…償うとか、難しい事はわかんねぇけど。


ソイツの望みを叶えたらいいんじゃねぇ?」


「えっ?」柚歌は顔を上げた
祐希の言葉が信じられなかった


「俺もさ、弟が居たんだけど…病弱で、学校に通えなかった。
家族も弟に付きっきりで、何回も居なくなればいいって思ったんだ。けど、弟か死んから…俺は罪悪感を感じてさ、俺が望んだから…弟は、福は死んだんじゃないかって。」


祐希…

祐希の顔は切なそうに歪んでいた


「だから俺は誓ったんだ。福が望んでいた事を、俺が叶えてやろうって。きっと福も…そう望んでる。」


楽しくて、ずっと行きたくなるような学校


それが、福の願いだった



「これが俺が桜欄に通ってる理由。福の願いを叶える為に…俺は学校を変えるんだ。」


よっと、祐希はその場に立ち上がった



「だからさ、柚歌もそうしろよ?ソイツの願いは、護った街で柚歌が笑ってる事だと思う。

なら、そんな悲しい顔をソイツに見せんな。」