名前の無い物語


「吉野?」


そう言った吉野の瞳は
キラキラしていた



「ちょ、吉野…何言ってるの?」


少し裕希達と離れて
柚歌と海は吉野に聞いた


「だって俺達何も知らないだろ?この町の事を知れば、デュアンテの事も分かるかもしれないし。

それに、知り合いを作った方が動きやすいだろ?」


「確かにそうだけど…。」


吉野の言うことは分かる
けど…



「まぁいいじゃん柚歌。前みたいにさ、何か情報を掴めるかもしんねーだろ?」


海の説得で、柚歌はようやく頷いた

知り合いを作っておくことは確かに大切だけど
彼らを巻き込んでしまう状況に置かれた時…一番困るのよ



「ごめん、お待たせ!!」



柚歌が納得したのを見た吉野は直ぐ様裕希達の所に走っていく
その光景を柚歌と海は見ていた



「…吉野でしょ?」


二人だけの空間で
柚歌は海に聞いた


「まぁ、あんなキラキラした目されたら断れないっつーか…。それにアイツの言ってる事は正しいからさ。」 


そう言った時
柚歌が違う事を考えていることを海は気づいた


「柚歌?」



「ねぇ…何か、吉野って少し変じゃない?」


悲しそうに見つめる柚歌の視線は
裕希達と笑い合う吉野に向けられていた


「何か…まるで何も知らない小さな子供みたいな…。」



柚歌の悲しそうな言葉に
海も視線を吉野に写した