「し、んや……」 ドクンッと鳴る心臓。 エントランスの壁に背を付け、腕組みをしながらあたしを見る慎也。 仕事帰りなのか…スーツ姿。 「お前なに電話無視してんだよ…ふざけんな」 慎也は苛立ったようにあたしに近付く。 それに反応して、あたしの足は後ずさる。 ダメ… やっぱりまだ怖い。 あたしはクルッと後ろを向き、慎也から逃げようとした。 「逃がさねぇよ」 後ろから慎也の低い声がして、一気に距離が近くなる。 そしてあたしの体はグイッと抱き寄せられた……。