「おい、汐莉」 「あっ!あたし今日早く帰らなきゃだから行くわね!」 「汐莉」 慎也はズンズンとあたしに近付いてくる。 「また連絡するわね!じゃあ…」 あたしはようやく支度ができ、部屋を出ようとした。 「汐莉!」 一際大きな声で名前を呼ばれ、いきなり強い力で手首を掴まれた。 あたしの体は一瞬ですぐ傍の壁に押し付けられた。 両手首を壁にグッと握り込まれた。 「やっ…!離して、お願い……っ」 「汐莉、落ち着け」 「や……っ…」 あたしは知らず知らずの間に涙を流していた。