なんだかバースデーケーキを見ていたら、慎也の優しさが痛いほど伝わってきて胸にジーンときた。



それと同時に涙腺も弱る。




「……っ…」




こんなふうに誰かに誕生日祝ってもらうなんて…何年ぶりだろう。



「……汐莉?」




あたしの異変に気付いたのか、慎也は心配そうにあたしに歩み寄ってくる。




あたしは瞳から溢れてくる涙を必死に拭う。




けど、拭いきれない涙がポタポタと足元の絨毯に落ちていく。




「泣いてるのか?」




「……っ…ふ…」




「なんで泣く?」




慎也はあたしの頬に優しく手を当て、涙を拭ってくれた。




優しくて、大きな手。




あたしはその優しすぎる手にさえも泣けてきて、肩を震わせた。