お姫様がピンチの時は、



決まって王子様が、颯爽と現れるものなのです。




「…先輩。
嫌がってるじゃないですか。
はなしてあげてくれませんか?」



そう言って、あの王子様スマイルを浮かべながら、龍は現れた。



「…あ?
誰だ、お前?」


「こ…こいつ、天星龍だよ。
何か、王子とかって、女子に騒がれてる…。
まさか、水結ちゃんが待ってたのって…。」



「きゃぁ―――!!
王子が姫を助けてる―――!!」



歓声なのか、嫉妬なのか。


女子の黄色い声があがる。



「…何だよ、やんのか?」


え!?


やるって、まさか、ケンカ!?


「だ、ダメだよ、り…天星くん、危ないよ!!」



(大丈夫だから、黙ってろ。)



ドキンっ!!



龍は、小声でそう呟いて、私を後ろに下げた。