お姫様はイジワル王子様の召使い。【完】

「私は誓って、そんなことは命令していません。
けれど、私の注意不足でした。
本当に、ごめんなさい。」




椎名さんは、ずっと頭を下げたままだった。




「胡桃様!!」




最前列から、声がした。




おそらく、"栗原一郎"という男子。




顔を上げた椎名さんの目は、




とても冷ややかだった。




「迷惑にしかならないと、言ったわよね?
そして、迷惑は絶対にかけてくれるなって言った。」




それだけ言うと、くるりとあたしの方を向き、




小さな声で




「おめでとう」と言って




階段を下りた。