次の日のニュースには和香の父親がテレビに映っていた。


「お前んとこの銀行だよな?」


そのニュースを見ながらそう言うと和香は手を止めて、


「・・・・・・はい」


と小さく答えた。


「どうなんの?」


ただの興味本位。

そんな俺の声に和香は「分かりません」と答えてまた手を動かす。

和香の父親は吸収される側の副頭取だ。

リストラされることは無くても降格は間違いない。

『副頭取の妻』

そんな肩書きを失ってあの女はどうするのか。

そしてこいつの父親は『降格』という立場に甘んじることができるのか。




少しだけ、


神様ってヤツに感謝したい気分だ。