わたしにとって、マスターの言葉は目から鱗だった。 ずっと、意思の弱かった自分が悪かったのだと、自分を責めていたからだ。 『レイプ』という言葉が自分にあてはまることに動揺したが、自分は被害者だったんだと認識した途端、少し楽になったような気がした。 「本当に大切な女性なら、簡単には触れられないよ。壊したくないもの。少なくとも僕はね」 マスターが、穏やかな笑顔をわたしに向けた気がした。 しかし、次第にマスターの顔はぐにゃりぐにゃりと歪み、渦を巻いて、そして闇になった。