【短編】或るOLの憂鬱~セクシャルハラスメント



「はあ……」


口から出るのはため息ばかりで、その度に体から生気が奪われていく気がする。


『君が欲しいんだけど、いいかな』


主任の声が頭の中でぐるぐると回り続ける。


そして、その声はわたしの体の中をぐるぐると駆け巡り、わたしを壊していった。


ふと、肩を掴まれた感触が戻ってきた。


なんという嫌悪感。


わたしは汚れたものを振り払うように、何度も何度も手で肩を払った。


だから。


男は信用できないのだ。


結局、なんだかんだときれい事を言っても、辿り着くところは皆、カラダなのだ。


主任はそれを証明したようなものだ。


そして、癒えてきていたわたしの古傷のかさぶたを剥がし、塩を塗り込んだのだ。