「神空様。その子に名前をつけるなら、"神威"と名付けるべきです」


「神威?確か平安時代に生きた頭領の名ではないか。なぜその名を……?」


「この子の記憶を読みました。だから間違いないと思います」


「なら再び起きるのか?またあの忌まわしい事件が起きるのか?」


「わかりません。この世に現れたのは神威様お一人だけです。ですが白雲と美月様がこの世に現れれば、また血を見ることになります」


震える身体を必死に抑え、我が子を包み込むように前から神空を抱きしめる


「心配するなユヤ。俺がそうはさせない。白雲が現れれば、俺が殺す……」


「神空様……」


ユヤが顔を上げると、今までみたことのない表情の夫がいた


「守るよ。俺が守るから」








――だがすでに闇がこの世に現れていたことを、二人は知らない……