「わかっている。俺たちは人間じゃない。俺たちは……」


――――…鬼だ


「そう。だから私たちはそう簡単に人間に力を振るってはいけない。人じゃないと知られてしまうから」


「わかってる。でも自分よりも大事な君を、誰よりも大切な君を野郎なんかに触れさせるのはイヤなんだ」


眉を寄せて苦しそうに美月の頭を優しくなでると、髪を一房指に絡めとる

「いつも美月は心配ばかりさせる。そして愛おしい。今も、昔も……」


ちゅっ。と、絡めた髪に口づける


そんな神威の行動に顔を赤らめてただじっと見ていた美月だが無意識に彼を払いのけて後ろへと下がってしまった


「あっ」


またやってしまった


いつも神威が私に近づくたびに身体が拒否してしまう


「じゃ、じゃぁ私はいくね。飲み物買ってくるから先、行ってて」


それじゃぁ。と、火照る顔を隠して振り返ることなく神威から逃げ出したのだった