【第三部】鬼に愛された女



「なんで……あなたがここにいるのよ」


「なんでって言われてもここは俺の教室だし?」

ごもっとも。


「わ、私先に行ってるから。中庭に小夜子がまってるの」


「ストップ美月。俺も行くからちょっとまってて」


そう言うと神威は一度教室の中へと入っていく


「………あぁ私何やってんだろう。なんで素直に言えないのよ!」


自分を戒めるために頬をつねっていると、教室から見知らぬ男子が数人出てきた


「ねぇねぇ君、もしかして百鬼美月?」


「……私に何かようですか?」


「あんたが百鬼美月か。あんたのことはよく知ってるよ。へぇ、噂通りマジ可愛いんだな」


『本当本当。あの百鬼の従妹だなんて信じらんねぇ』


一人の男子が美月の手首を掴むと、自分の方に引き寄せた


「や、離してっ!」


抵抗するために力を込めようとするが、美月は躊躇ってしまった