【第三部】鬼に愛された女



「そうなんだ、残念。今日は久しぶりに兄さんと弁当食べたいなって思って。え?美月いるよ」


そう小夜子が言うと……

『なぜそれを先に言わないんだ!美月いるんだな?いるんだよな!?わかった行く。用事終わらせたらすぐ行く。じゃぁな』


「兄さんまっ…」


待てとそう言おうとするが、言い終える前に電話を切られてしまった


神威の勢いに何も言えずにいた小夜子は、思わず目が点になる


「切れちゃった」


「みたいだね。てか、声だだ漏れだったよ」


呆れ顔に近い笑みを浮かべる美月


「それほど嬉しかったんじゃない?一緒に食べるの久しぶりなんだし」


「……」


それでも異常過ぎるのではないか


なんて思うのは自分だけなのかと疑問を浮かべるが、なんとも言えない空腹感にどうでもよくなってくる


「お腹空いちゃった。小夜子、中庭行こう?」


「行こっか」


小夜子は大きな弁当を抱え直すと、携帯をしまって美月と教室をあとにした