【第三部】鬼に愛された女



。十。十。十。十。十。十。十。



――昼食時間に事件は起きた



「美月ぃ。お昼どこで食べる?」


長い授業が終わり、小夜子は大きな弁当持って美月に近づく


「今日は中庭で食べたいなぁ。天気もいいし」


「OK。じゃぁ兄さんにメールを……」


「ちょ、ちょっとまったぁぁぁぁ!」


持っている携帯を開こうとする小夜子を美月は全力で止めに入る


「神威呼ぶの!?やめとこうよ!」


「いいじゃない別に。あんたが嫌がるからしばらくは兄さんに来ないように言ってきたけど、さすがに可哀想よ」


「だって……」


「だってじゃないわよ。ほら、電話するから離れる」


虫を払うかのように手をひらひらと動かして美月を自分から離れさせる


そして……


「あ、兄さん今大丈夫?じつは……え?今忙しいの?」


小夜子の口から"忙しい"という言葉が出たことに美月は大きな期待を膨らませる