「兄さんって本当に単純」


「うん。私もそう思う」

携帯を閉じてスカートのポケットにしまうと、外にいる神威に目をやる


ふと、いつから神威を鬱陶しくなってしまったのかと思った


昔の美月はそれなりに神威を慕っていた


だが、神威を見ていると心が彼を拒否してくる


「好きなのかなぁ」


美月がそう呟くと、瞳を輝かせて小夜子がじっと見つめてきた


「なになに?兄さんのことかしら。やっと認めることが出来たの?!」


「……好きなのかなぁ」

考え事をしている美月の耳には小夜子の声は届かず、一人で何度も好きなのかと呟いたのだった