────高校2年 夏


あたしの家の前には大きなビルが建っていた。


…………そう、あの、"心霊探偵"ってやつの事務所だ。


あたしは生まれたばかりの時に親に捨てられ、孤児園で育った。

高校に入ると同時にこのマンションに引っ越した。


今でも園長先生が家賃と学費を払ってくれている。


それがとても申し訳なくて、食費などの生活費はバイトで賄っているのだ。





だからあたしは友達と言える友達はほんとに少なく、彼氏だっていたことがない。


親の愛情を受けていないあたしは、少し、恋をするのが怖いのだ。



そんな、あたし────神谷 柚菜(カミヤユナ)は、この日を境に人生が180度変わる。


















.