簪彼女。



言っている私自身も、わかっちゃいなかった。



「ほら、もう皆登校しちゃっていないよ。この道にいるのは私達だけじゃない、遅れちゃうよ」



「そんなの、どうだっていい。赤松のほうが、俺にとっては大事だ」



キュン、って胸が鳴るのを感じた。


胸が苦しい。


高橋君にきつく繋がれた手が熱い。



「なに、言ってるの?高橋君ってば」



恥ずかしくて、揺らぎそうな自分が情けなくて。


私は、高橋君からの真っ直ぐな視線をはね除けようと前髪を手で鋤く。



「中学校に行くのは勉強する為なんだよ。私が簪に飽きちゃったって言ったくらいで、そんな大袈裟な――……」