ふと、私を呼ぶ声。
「んー?」
なんて言いつつそちらを向けば、数人の小さな悲鳴が聞こえた。
…そんなにホラーな身なりになっているんですか、私は。
「ごめん、ペンキひっくり返しちまった……」
「ううん。別に大丈夫。ちなみに何色?」
別に大丈夫なんて嘘っぱち、でもすまなそうな相手の声を聞いていたら咎めることなんて出来ないじゃん。
ただ、見えないから色だけは聞いておこう。
「あ、赤……」
「……うっそーぉ」
一体、廊下の壁のどこに赤色を使うって言うの!?
「ちょ、えぇ、じゃあ私今血まみれ見たいな格好してる訳?」
「そ、そういう訳……」
ひとつだけため息。
そりゃあ、小さな悲鳴が上がるのも納得できる……けども。
「……ペンキ乾いてきた」