簪彼女。



なんだか前方を睨んでいるようにみえた高橋くんに、恐る恐る聞いてみる。



「いんや。気まぐれ?ってヤツかな。……もしかして赤松、俺とお揃いイヤだった?」



ブンブンと頭を振った。


そんな私を見て、高橋くんは、くはっと笑った。



「そっか。良かった。でも、ごめんな」



その「ごめんな」は、一体何に対しての「ごめんな」なんだろう。


そんな疑問が頭に浮かんだけれども、それを聞く事は出来なかった。


高橋くんに握られた手をぎゅうっと握る。


そしたら、高橋くんが驚いたようにこちらを見て、少し笑って直ぐに前を向いた。


きゅ、と高橋くんの握る手も力がこもる。


それで、私の心にできた小さな小さな不安の種が少し芽を出した。



………高橋くん……?

何を、隠しているの…?


心の中で問いかける。