簪彼女。



だって私達は中学三年生、つまり受験生でしょ?


授業ひとつひとつがとても大切で、しかも頭のいい高橋くんは特に授業を大切にしていたでしょ?


いくらあんまり喋った事がないって言ったって、同じクラスなんだからそれくらい知ってるよ。



「……ねぇ、高橋くん。お願いがあるんだけれども」



「何?……それより俺は、健全な中学男子代表としてお前に早くシャワールームの中に引っ込んで欲しい……」



「ご、ごめんってば……」



困ったように笑う私。


そんな私を気まずそうにちらりと見て、高橋くんはふっと笑った。



きゅん、って胸がなる。


なんだろう、新しい心臓病かな。



「……その、お願いとやらが済んだら、すぐ入ってこいよ」



「うん、ありがとう」



お礼を言えば、高橋くんはちょっとだけ驚いたように目を見開いた。


あのね、高橋くん。