「お母さん!お母さん、これかわいー」


「あらまぁ……簪なんて買っても、雪ちゃんの髪型じゃあ纏められないわよ?」



そうだ、私の髪型はあのときショートで。


簪なんて買っても、到底使えるような髪型じゃなかった。



「いいの!雪、髪伸ばすから!」



それでも、どうっしてもその簪が欲しくて。




「もう……しょうがないわねぇ、約束よ?雪」



「うん!」



「大きくなって、雪のさらさらな髪の毛が伸びたら――……この簪で綺麗に纏めて母さんに見せてね?」



「うん!勿論だよ!」



そうして買ってくれた簪。


赤くて丸い飾りのついた、玉簪。


今の私の宝物だよ―――………