「待て、どういう事だ?」
その言葉の意味がわからなかったのだろう先生は、手で制すようにストップを入れた。
多分頭がついていってないのは私もまーちゃんも同じ。
未だに気まずそうに頬を掻く高橋くんへ、一斉に視線が行った。
「いや、だからさぁ……」
はぁっ、と腹をくくったようなため息。
「シャワー浴びんだろ?なのに着替えがないと」
「うん」
「だったら、俺のジャージを貸そうか、って言った」
この時のまーちゃんの唖然とした顔を私は一生涯忘れられません。
「もとはと言えば俺のせいだろ。今日部活で着ようと思ってたからあんだよ、俺。ジャージ」
「え、いやいやいやでももも、」
「……それはいい」
焦って吃る私。
どうにかこうにか、断らなくては!と使命感に襲われたのだけれども、そんなのは先生に敢えなく消された。
「この際しょうがないな。よし、高橋。赤松にジャージ貸してやれ」
「へーい」
……………、……。
「ぇえええぇぇえええぇぇえええぇ!!」
そして廊下には、私の悲鳴が響き渡った。