「親父…何やってんだよ……?なんだよ、今の…。」


あまりの出来事に理解が出来ない薫。

奏雲は、しばらく黙っていたがやがて重い口を開けた。


「いま、お前たちが見たのは悪魔だ。人間に取り憑いたな。悪魔は空想の生物ではない。確かに存在する。そしてオレはエクソシスト。悪魔を裁くもの。オレだけじゃない。世界中にエクソシストは存在する。」



エクソシスト…?

たまに映画などで取り上げられる、あれか…?


信じらないがあながち嘘とも思えない。

実際に自分の目で見たんだから。


憑依された人間を。

身体から煙を出して元に戻っていったところも。


頭の中で必死に整理をしている薫の肩を持って奏雲はつぶやいた。


「いきなり話されてもわからないことだらけだろう。本部に来い。そこでちゃんと説明してやる。」


本部に行ったところで完璧に頭の中を整理出来るとは思っていなかったが、気休めにはなるだろうと思った。


何より、この場所から早く離れたかった。


何か気味の悪い嫌ーな空気感だった。


奏雲が歩き出すあとに続いて二人はついていった。

その時、死んだはずの悪魔が最期の力で鎌を出現させ、その刃は薫に向いていた。


「え…」


一瞬の出来事だった。

刃は薫には届いていなかったが、代わりに奏雲の心臓を貫いていた……。