心の中で、ぶつぶつ呟いていたら、家に着いていた。

小さな門には、「吉野」という札が付いている。

わたしの家には庭があり、そこを通って家の中に入るの。

庭には、様々な花が植えられている。

お母さんが育てているから、花の名前はよくわからないけれど。

いつもどおり、わたしが庭の中に入ると、そこにはお母さんの後ろ姿が見えた。

何してるんだろ。

気になったのは、お母さんの様子だった。

ショートカットの髪を揺らしながら、首を傾げている。

挙動不審な動きをしていたので、わたしはお母さんの所に駆け付けた。

「ただいま。どうしたの?」

訊くと、お母さんは振り返り、「ああ、おかえり。楽」と顔を引きつらせて笑った。

そしてまた、口を開いた。

「実はね……」