「綾瀬、ちょっと寄って良い?」
帰り道。綾子が通りのケーキ屋を指差す。
自動ドアを抜けて店に入ると、ショーケースに並べられたケーキに綾子の顔がぱっと明るくなった。
「何か買うのか?」
「んー手土産」
「何度も来てるのに今更じゃねえ?」
「それはそうだけど……あ!綾瀬先輩ってシュークリーム好きだよね?」
「…多分」
「よかった。すみません、シュークリーム五個ください!」
上機嫌でシュークリームを受け取る綾子は、やっぱり無駄に可愛い。
俺はそんな綾子を見ると少し喉の奥が痛くなる。
俺はできるだけ平静を装って、一歩近づいた。
「あっ」
「俺が持つ」
「え~、いいよ」
「持つって言ってんじゃん」
「いいってば」
店を出てからもこんなやりとりが続いて、綾子も袋掴んできたし、俺もムキになった。
で、家の前に着いたら
「いい加減うぜーよ、ほんっと可愛くねーなお前!」
結構強めに引っ張ったらスポーンて袋が飛んだ。
ぐしゃっ
落っこちてひっくり返ったシュークリームの箱。
中は多分ぐちゃぐちゃだろう。
すぐに綾子にぶっとばされたのは言うまでもない。
