はぁ……。


あたしは最近、ため息ばかりついている。
瑞希ちゃんからの嫌がらせは、おさまるどころか増えてきている。

物が隠されたり、変な噂を流されたり……。


由美がかばってくれて、陽が助けてくれた。






「瑞希もあきらめ悪……」


「アハハ……しょうがないよ」


「絢は優しすぎだろ」






陽が言った言葉に由美が大きく頷いた。


あたしは……
その嫌がらせの意味を考えてみる。

そしたらひとつしか浮かばなかった。







「それだけ、瑞希ちゃんが陽のことを好きってことだよ」







瑞希ちゃんがあたしと陽に別れてほしい理由は……
“本気で陽が好き”だから。

諦めきれないってことなんだろう。


そう思い、あたしは嫌がらせも我慢していた。
しょうがない……。







「絢、俺そのうち瑞希にキレる」


「ダメ」


「は?」


「瑞希ちゃんだって女の子ですよ? 好きな人にそんなことされたら」


「関係ねぇ」







陽の言葉を無視すると、陽があたしの額をコツンとつついた。


その言葉だけで嬉しい。
あたしを大切に想ってくれるだけで、あたしは我慢できる。