「それがわかってたから……、あたしは陽くんと絢を引き裂くことなんて言えなかった……」
「由美……」
「陽くんは気づいてた? カラオケのときの陽くん、絢の隣で優しく笑ってた。すごく居心地がよさそうに、穏やかな顔してた」
由美の目から自然と涙がこぼれていた。
優しく背中をさすっている陽。
由美、泣かないで……。
「あたし……嘘……ついちゃったけど……っ……あ……絢はこんな……あたしと……っ……親友になってくれる……かな……っ……また…っ……仲よく……っ……してくれ……るかなぁ……っ」
泣いて、声を詰まらせながらそう言った由美。
由美……。
なれるよ。いちばんの親友に……。
「由美!! なれるよ!!」
あたしは思わず、飛び出していった。
あたしは由美のいいところを知っている。
優しくて、明るくて、まっすぐで、無器用で……。
知ってるからこそ、親友になれる。
「あ……絢ぁ……」
「由美はあたしのいちばんの親友でしょ……っ!!」
「……あや…」
「泣かないでよぉ……っ 化粧崩れちゃうよ……っ」
「……っ」
「あたしたちは親友でしょ…っ」
そう言って泣きながら抱きしめあうあたしたちを、陽は優しく微笑んで、見守っていた。
由美……。
あたしたちは親友になれたんだよね?
心から信じあえる親友。
あたしにとっては高校に入って初めての親友……。
陽と同じくらい大好きで、大切な存在。
「絢」
「由美」
「「だいすき」」
これからまたたくさんおしゃべりして、笑って、泣いて、思いをぶつけあって、信じあっていける友だちになろうね