資料室まで運んでくれた陽。
陽の髪の毛にゴミがついていた。
あたしがじっと見つめると、陽は首を傾げる。
「……?」
「髪にゴミがついてる」
あたしは陽の髪についているゴミを払った。
陽って……
見れば見るほど、本当にかっこいいよね。
整いすぎてる……。
「なに見とれてんの?」
「あ……別に見とれてなんか……」
「そんなにかっこいい?」
「かっこいいんじゃないですか?」
「素直に言えよ」
あたしってかわいくない。
どうして素直に言えないんだろう……。
「でも、素直じゃないところが絢らしいな」
少しあたしをいじるような言い方。
陽はあたしをいじるのも楽しそう。
あたしはそんなにリアクションを取らないようにしてるけど……。
「……なに……」
「あんまり素直に言われると……ほかの女と変わらねぇし……」
「……?」
「俺、あんまり容姿のこと言われんの好きじゃねぇからさ」
それだけ言うと、陽はニコッと笑ってあたしを抱きしめた。
でも……
どうして震えているの?
あたしを抱きしめる陽の手はかすかに震えていた。