陽はあたしをからかって楽しんでいる。
付き合ってること秘密なのに……
人前であんなことしてたらすぐばれちゃうよ。
「陽、じゃあ行くね」
「あぁ。楽しめよ」
陽はあたしと逆方向に歩いていった。
陽の背中を見送り、振り向くと由美と奈菜がニヤニヤして、あたしを見ていた。
……まさか、陽は見せつけるために……。
まさかじゃない。絶対、確信犯だ。
「ラブラブじゃん! 絢!」
「一ノ瀬くん、ゲットしてたの?!」
「由美……奈菜ぁ……」
「「ごめんごめん」」
午前中、あたしたちは文化祭を楽しんだ。
けれど……
交代の時間に事件は起こる。
交代の時間……。
「由美」
「由美ちゃん」
由美を呼んだふたりの女の子。
友だち……?
いかにもギャルって感じの女の子たちだ。
「光里、日菜子……」
あたしと奈菜は邪魔しちゃいけないと思い、
先に教室に入ろうとしたとき……。
「ね、陽に好きな子ができたって聞いたんだけど」
「そう。なんか、本命らしいじゃん」
「イズミアヤだっけ?」
もしかして……
陽の取り巻きの女の子たち……?
少し怖くなって、手が震えた。

