文化祭当日。
クラス全員、朝から浴衣。
帯を結んでいるのは真面目女子の……赤塚奈菜。
すごく優しい子で、みんなの帯をひとりで結んでいる。
「ま……まだ……帯結んでない人……いませんか……?」
「奈菜ちゃん! あたしで最後だよ!」
奈菜ちゃんはあたしの帯をしっかり結んでくれる。
周りをよく見ている。
あたしの制服のボタンが取れたとき付け直してくれたり、重い荷物を持つのを手伝ってくれたり……。
眼鏡をとったら顔もかわいい。
だから、オシャレしたらかわいくなるのに、もったいない……。
「ありがとう!」
「あ……はい……」
人見知りなのかな……?
あたしが帯を結んでもらったのを由美が確認し、
廊下からあたしを呼ぶ。
「絢! はやく!」
「あ、うん! 由美! ちょっと待って!」
あたしは奈菜ちゃんに自分の髪を結っていたシュシュで、奈菜ちゃんの髪を結った。
「和泉さん……!?」
「絢でいいよ! 奈菜って呼んでもいい?」
「はい……」
「堅苦しいなぁ。呼び捨てならタメ口だよ!」
この時、気づいた。
あたしは由美と仲よくなって、陽と付き合って変わった。
自分から人に積極的に話しかけれるようになった気がする。
きっと、昨日の陽の言葉の効果もある。
『自分だって』って言葉……。
「うん……!」
「奈菜、もしよかったらあたしたちと回らない?」
由美の方をあたしはチラッとみて「いい?」と聞くと……
いつもみたいに優しく微笑み「もちろん」と答えた。
「で、でも……あたし地味だし、絢や由美ちゃんみたいに……」
「“あたしなんか”じゃないよ。“あたしだって”でしょ?」
自分に自信を持つ。
陽が教えてくれた。あたしも、陽みたいに自信を持ちたい。
そして、もうマイナスな考えはしない。

