バス停を降りてすぐのところに、遊園地の入場門がある。
陽は何も言わずにフリーパスを2枚買った。
「陽、あたし自分で出すよ」
「初めてのデートは俺が出すからいい」
「でも……」
「いいだろ? 次は絢のおごりで行くつもりだからな」
「えっ…… うん! ありがとう」
初めてのデートだから。
陽はそう言って聞かなかった。
だから、あたしは申し訳なく思いながらもそのまま陽の好意を受け取る。
「楽しめよ」
「陽とふたりで楽しむんだよ」
「そうだな」
隣で笑ってくれている陽。
あたしはきっと、世界一幸せ。
「あ! あれ! 乗らない?」
「あれ……って……」
幸せを感じていた最中、あたしの目に飛び込んできたアトラクション。
あたしが指差したのは、
遊園地で一番高いジェットコースター。
むかし、お父さんとお母さんが離婚する前によく遊園地に来たっけ。
あれ以来の遊園地……。