陽といると心があたたまる。


そんなあたたかい気持ちのまま、あたしたちは初めてのデートに出かけた。



陽は慣れてるんだろうな……。
そう考えたらなんだか、複雑だ。

でも、想像通りリードしてくれる陽を見ると頼もしく思う。






「どこ行きたい?」


「え……。あたしはとくに……。陽は?」


「うーん……。 遊園地とか行く?」






遊園地! 行きたいな……。






「……って、嫌か?」


「行きたい!」


「……じゃあ行くぞ」





ひんやりとした陽の手が頭の上に乗った。


遊園地までは電車を乗り継いでからバスに乗っていく。

何も言わず、
陽は満員電車のドア付近であたしをかばって立ってくれていた。


おかげで足を踏まれたりすることはなく……。






「平気?」


「うん……」


「あと少しだから我慢しろよ」





満員電車が苦手なあたし。

でも……陽と一緒なら平気だ。


守られていたら電車の時間もあっという間。



乗換の駅に到着すると、あたしたちは電車を降りてバスに乗る。
ようやく、人ごみから解放された……。






「電車、人多すぎ!」


「ほんと」


「あたし、髪クシャクシャ……」





陽は優しく笑って、あたしの髪を丁寧に直してくれる。

……まるで、壊れ物を触るかのような手つき。





「まもなく、遊園地前ー」





そのアナウンスを聞いて、あたしたちは遊園地前で下車した。