しばらく陽のうしろを歩いていると……





「隣にこいよ……」


「え?」


「いや、なんていうかずっと後ろ歩いてたら変だろ」


「フフッ 陽ってなんかかわいい」


「あー、お前といるとペース乱れる!」






髪をクシャっとして、あたしの方をみた陽。


必殺……
太陽スマイルだ。






「今日会った時から言おうと思ってたけど」


「なに?」


「かわいいな」






たった一言。

くすぐったくて、嬉しくて。
あたし……幸せすぎるのかもしれない。






「なんか……陽がもったいない……」





でも、幸せと一緒に感じる不安。
いくら陽が“かわいい”と言ってくれても、周りからみたらやっぱり釣り合ってないんじゃないかとか……思ってしまう。


あたしなんかに陽はもったいない






「まぁ、たしかに絢に俺様はもったいないよなぁ」


「え! そんなに……はっきり言わなくても……」






わかってることだけど……
そんなにはっきり言わなくても……。

あたしのテンションが落ちたことに陽は笑いを漏らし、あたしに嬉しすぎる言葉をくれた






「んなわけねぇよ。つーか、逆だ。 俺に絢はもったいねぇよ……」





顔を少し赤くして“俺に絢はもったいねぇ”なんて……。
やっぱり、もったいないのは陽だよ。

あたしは陽に釣り合うものをもってないのに。





「絢ってさ、よく“自分なんか”って思ってるみたいだけど、そんなことねぇから」


「?」


「だから……“自分なんか”って思うなよ。“自分だって”とか……自信持てってこと!!」





自信……?

今まで、なにをするのにも平凡だったあたし。
1つだけ自分の中で特別だったのは大好きな陸上だった。


それ以外で自信なんて……って思っていたのに、


陽は、なんでも見抜いちゃうね。






「陽……。ありがとう」


「ん……」